中退共に入るだけでP点が約21点上がる!
1つめは、中小企業退職金共済(中退共)です。中退共は、国が運営(性格には独立行政法人ですが)している中小企業向けの退職金積立制度で、月5,000円から掛け金を選べ、自社の規模や従業員の勤続年数、貢献度に応じて自由に退職金制度を設計できるのが魅力です。また、本人の同意が必要ではありますが、会社が苦しくなったときは掛け金を減額することも可能です。経審では、社会性等の評価項目のうち「退職一時金制度または企業年金制度の有無」の項目で加点をもらうことができ、加点はW点で15点なので、P点換算だと21点です。
中小企業退職金共済HP
決算日に申込書を提出しても間に合う!
中退共の加入手続きは、金融機関で申込書類をもらい、金融機関に提出します。そして、ここが重要なのですが、金融機関に申込書を提出した日が契約成立日になるので決算日ギリギリでも加入ができ、経審で加点対象となる加入証明書をもらうことができます。中退共はコスパも良いですが、この即効性も魅力の1つです。
ただし、加入証明書が発行できるようになるのは、申込→機構での審査→登録完了→共済契約者番号付与という手続きを経た後になるため約1か月かかります。しかし、決算日直前に中退共に加入しても、確定申告を終える2か月後には間違いなく取得できるので経審を受ける時には証明書を取得できるのでご安心ください。
加入証明書はHPから入手可能!
経営事項審査に必要な中退共の加入証明書は、中退共のHPからPDFでダウンロードすることができます。HP左側のメニューの中に「加入証明書交付」というバナーがありますので、そこから進んでください。この時に必要な情報は、共済契約者番号、郵便番号、電話番号、会社名(カタカナ)です。
以前は押印のある原本を提出または提示することが多かったのですが、今はどこの行政庁でもダウンロードした加入証明書でOKしてくれています。行政庁によっては、“カラー印刷したもの”という条件が付くこともありますので、その点はご注意ください。
しかし、中退共には唯一のデメリットが…
経審の加点にもなって、会社の福利厚生にもなって、全額経費にもなるメリットだらけの中退共ですが、社長にとっては1つだけ大きなデメリットがあります。それは、退職金が退職者本人からの請求に基づき、退職者本人に直接支払われるという点です。
例えば、悪いことをして会社に損害を与えて辞めていった従業員がいた場合、社長としては損害を補填てもらいたいはずです。退職金を会社から支給するのであれば、退職金を一度渡して、そこから損害を補填してもらうことも可能(※本人との間できちんとした合意は必要です)ですが、中退共は退職者の銀行口座に直接振り込まれるためこれができません。会社側ではいついくら支払われたかもわからないので、このような場合には社長の立場からは気持ちが良いものではありません。
退職した際に従業員が機構から直接退職金を受け取れるのは従業員から見ればメリットですが、社長から見ればデメリットになる可能性がありますので、中退共に加入するのであればこの点をきちんと理解した上で、加入することをおすすめします。
ちなみに、当事務所では、中退共よりも少しコストがかかりますが、会社から支給する形の退職金制度を無理なく運用する方法をご提案しています。