経審で3保険が「除外」になるケースを確認しておく

経営事項審査において3保険(雇用保険・健康保険・厚生年金)の加入の有無が評価項目となっていますが、わかりづらいのが「除外」の場合です。今回はこの「除外」について説明します。予めお伝えしておきますが、本記事は必要な範囲で私が個人的にまとめたものなので、より具体的かつ詳細な説明や判断が必要な場合には社会保険労務士さんにご相談ください。

どういう場合に「除外」になるのか?

「3保険の加入の有無」について、加入と同じ扱いを受けられる「除外」ですが、除外の判断は雇用保険と健康保険・厚生年金とで異なってきます。

雇用保険の「除外」にはどんなケースがあるか

雇用保険は、労働者が失業や休業した場合に必要な給付を行うことで生活及び雇用の安定を図ることと、労働者福祉の増進を図ることを目的として、人を雇用した場合に加入することが義務付けられている保険です。

したがって、従業員を1人でも雇用した場合には原則として加入する義務が生じます。その1人が正社員であればもちろんのこと、条件を満たせばパート・アルバイトも加入対象となるので注意が必要です。「原則」と言ったのは、社長の同居の親族については例外的に加入対象から外されているからです。なので、人を雇用していてもその人が同居の親族の場合は適用「除外」となる可能性があります。ただし、例外の例外もあり、同居の親族でも雇用保険の加入対象となることがありますので、詳しくはこちらの厚生労働省HPにあるQ5をご参照ください。

このように従業員を1人でも雇用した場合に加入することになる雇用保険なのですが、裏を返せば、社長1人だけの会社(あるいは取締役しかいない会社)の場合は、加入義務がありません。したがって、この場合も経審において適用「除外」となります。(取締役が使用人兼務役員の場合は適用の可能性があります。)

気をつけたいのは65歳以上の労働者で、元々は65歳以上の労働者は雇用保険の対象ではなかったのですが、平成29年1月1日から65歳以上の労働者についても加入が義務付けられました。しかも、平成31(令和1)年度までは保険料が免除されていましたが、令和2年度以降は65歳未満の労働者と同様に保険料がかかるようになりました。

この点、特に注意が必要なのがいわゆる後期高齢者(75歳以上の方)で、75歳になると健康保険から強制的に外れることになりますが、雇用保険は引き続き加入する義務があるので、気をつけてください。

健康保険の「除外」にはどんなケースがあるか

健康保険は雇用保険よりも話が複雑です。健康保険は、個人事業の場合には事業主と家族従事者意外の労働者が4名までであれば適用「除外」となり、5名以上になる場合には法人と同じ扱いをします。個人事業で適用「除外」となっても保険に入らなくて良いということではなく、国(正確には、市区町村)が運営する国民健康保険に個人で加入しなければなりません。

一方で、健康保険は法人であればまず確実に適用事業所になります。社長1人の会社でもお給料(役員報酬)が発生していれば健康保険への加入が義務となるのです。お給料が発生しているのに健康保険に加入していない場合、年金事務所の調査等で悪質だと判断させると、最大で2年ほど遡って保険料を徴収されますのでご注意ください。

しかし、この健康保険についての評価項目で「除外」となっている経審結果通知書を見たことがあるかもしれません。これはどういうことかというと、“国民健康保険組合”という例外中の例外が認められているからです。東京では、東京土建さんや建設ユニオンさんがそれぞれ国保組合を持っていることで有名です。

国民健康保険組合に加入する際に健康保険の『適用除外申請書』を年金事務所に提出し、その承認が下りることで正式に適用「除外」となります。ただし、だいぶ前から法人が国民健康保険組合に加入することができなくなっており、個人事業を営んでいる方が法人成りをした場合にのみ認められることとなっています。したがって、現在健康保険に加入している法人が国民健康保険組合に加入しなおすことは認められていません。

この点、某国民健康保険組合で「個人事業時代からうちの国保組合に加入していたことにしましょう」と、悪質な勧誘をしているという話を聞いたことがあります。これは違法ですので、唆されないように注意しましょう。

厚生年金の「除外」にはどんなケースがあるか

最後に、正直あまり見たことはないのですが、厚生年金の「除外」に当たるケースを参考までにお伝えしておきます。基本的な理解としては健康保険と同じなのですが、国民健康保険組合のような例外はありません。健康保険+厚生年金または国民健康保険組合+厚生年金という形で、どちらにせよ厚生年金は加入が義務となっています。

なので、適用「除外」に該当するものとしては下の図にある「個人事業で5人以上だけど家族従業員のみ」や「短時間労働者しかいない」といった場合に限られます。

あとは例えば、創業時点から「後期高齢者しかいない会社・個人事業」というのも既に健康保険・厚生年金の加入年齢を過ぎていることから、健康保険・厚生年金ともに適用「除外」になります。建設業界ではまだまだ大先輩方が元気に現場に出ているケースも多いので、まだ見たことはありませんが、そういう会社があっても良いですよね。

3保険の制度的なお話だったので、少しややこしいというか面倒くさいかもしれませんが、3保険の加入は令和2年10月より建設業許可の要件にもなりましたし、なにより公共工事を受注する上での最低限のマナーです。最近はゼネコンの下請で仕事をする際に保険加入の確認があると聞いています。適切な保険に加入して、経審の点数のことだけではなく選ばれる組織づくりを目指しましょう。

 
行政書士法人Co-Labo
 

業務に関するご質問は、下記フォームより情報を送信ください。お急ぎの方はお電話(03-6276-4053)にてご連絡ください。

    ご希望の連絡先 (必須)
    メールに返信電話に連絡どちらでも可

    東京都渋谷区代々木1-38-2 ミヤタビル2階

    ページトップへ戻る