中小建設業者が経審を受けるときにおススメする決算月

「決算月を変えようと思うんだけど、経審のためには何月にしたら良い?」とか、「決算月を〇月にしようと思うけど、経審的にどうかな?」とか、経審を受ける中小建設業者の社長からご質問をいただくことがあります。もし社長が決算月を変更しようかと検討されているなら、ぜひご一読ください。

1.経審的にはB/Sが小さくなる月がベストです

これは経営状況分析(Y点)のところでも書いていますが、経審を受ける上では『B/Sはコンパクトに!』という貸借対照表における原則があります。経審においては売上は大きければ大きいほど良いわけですが、同じ売上同じ利益であれば、総資産がたっぷりある会社(=貸借対照表が大きい会社)よりも総資産が少ない会社(=貸借対照表が小さい会社)の方が、効率よく売上と利益を稼げているということで良い評価になります。

この辺のことは「公共工事の受注に繋がる決算書とは?」や「売上が増えても経審の点数が下がる『負債回転期間』」でその理由を説明しているので、併せてお読みいただければ幸いです。

そこで、社長にやっていただきたいのは、毎月の試算表を過去5年分比較することです。建設業の場合、毎月の売上はバラつきがあって当然ですが、その中でも売上が少ない時期や資産が減っている(=貸借対照表が小さくなる)時期がなんとなくでも見えてくるはずです。

例えば、大手の仕事をメインにされている場合はどうしても年度末の3月完成の工事が多くなるため、3月は売掛金や買掛金が増えて、貸借対照表が大きくなってしまいがちです。しかし、その後の年度初め4~6月は受注が少なくなり、現預金が減るために貸借対照表が自然と小さくなることがあります。

このように無理しなくても貸借対照表が自然と小さくなる月があるのであれば、その月を決算月とするのが経審上ベストです。上記のように、3月決算は一般的には貸借対照表が大きくなりがちなので、理由があるのであればかまいませんが、経審を受ける中小建設業者の決算月としてはあまりおすすめしていません。

自社の過去5年分の月次の貸借対照表を見てみて、毎年貸借対照表が小さくなっている月がないか、探してみると良いでしょう。なお、決算月を変更する場合には税理士のご協力が不可欠なので、事前に税理士と綿密に打ち合わせをするようにお願いします。

2.決算月が6,7,8月なら自社に有利な経審を選べる!

入札参加登録は2年あるいは3年に1度、定期受付を行っています。2年か3年かは役所や団体によって異なりますが、建設工事の場合はほとんどが2年、物品委託等でたまに3年があるといった具合です。時期的には10月頃から翌年1月の4か月のうちに定期受付期間を設けているところが多く、中央省庁一元受付が12月から、東京都が11月下旬からというのもここ10年以上変わっていません。

ここで大事なことは、各役所や団体の入札参加登録定期受付にいつの決算日(審査基準日)の経審が使えるかです。いつの経審が使えるかについては一般的には「審査基準日が 申請日から1年7か月以内の有効なもの」というように定めていることが多いのですが、たまに次のような定め方をしていることもあります。(令和3・4年度の受付は、新型コロナウイルスの影響を鑑み、特例が設けられているため、当てはまりません。)

これは平成31・32年度の中央省庁一元受付のときのものですが、平成29年6月30日以降の経審を受けていることが条件となっています。中央省庁一元受付の受付期間は毎回年明けの1月15日までなので、その締切時点で有効な経審を備えておくことを申請者に求めているものと、個人的には理解しています。

ここで生じるのが平成30年6月30日の経審をいつ受けるのか?という問題です。結論を言ってしまえば、自分に有利な方を選んで良いのです。下の図を見てください。これは経審と一元受付について時系列に並べたものです。

平成29年6月30日決算についての経審は、結果通知が発行された日から平成31年1月31日まで有効です。したがって、このまま平成29年の経審を使って一元受付を利用することができます。一方で、一元受付の受付期間の前に平成30年6月30日の決算を迎えており、この平成30年の経審は平成29年の経審が期限を迎える平成31年1月31日までに受ける必要があります。裏を返せば、急がなくても平成31年1月31日までに平成30年の経審を受けてあれば良いわけです。

そこで、社長に考えて欲しいのは、自社にとって平成30年の経審の方が有利になりそうなのか不利になりそうなのかということです。有利になるのであれば先に平成30年の経審を受け、その結果を使って一元受付を申請すれば良いででしょう。逆に不利になるのであれば一元受付を先に申請し、その後から平成30年の経審を受ければ良い(経審申請は先に済ませて、結果待ち状態のうちに一元受付を申請するのでもOK)のです。

これが、経審を受ける中小建設業者に6,7,8月決算をおススメする理由です。もちろん受付時期がもう少し早い役所や団体であれば5月決算も選択肢に入ってくるでしょうし、逆に2月頃に受付をする役所や団体であれば6月が不可で9月が選択肢に入ってくるでしょう。あとは社長がどの役所や団体に照準を合わせるかの問題です。

有利と不利の意味合いは社長によって異なると思います。これは自社の戦略にかかわってくる部分なので、一概にどちらが良いとは言えません。点数が高い方が有利な場合もありますし、点数が低い方が有利という場合もあります。どちらが自社にとって有利になるかで悩まれている社長は、こちらの記事が役に立つかもしれませんので、ご一読ください。

最後になりましたが、本記事は決算月を変更することを積極的に推奨するものではありません。資金繰りや納税の時期などのこともありますので、繰り返しにはなりますが、決算月を変更する場合には税理士にもご相談ください。

 
行政書士法人Co-Labo
 

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