経審結果通知書を見る上で、P点よりも大事なこと

こんにちは。“入札コンサルティングを通して建設業者さんの売上に貢献する”行政書士の小林裕門です。お客様と話をしていて、よく質問されるのが「経審結果通知書の見方」についてです。最終結果である経審の点数だけ見ていて、それ以外の項目あまり見ていないという方も多いかと思います。経審と入札に戦略的に取り組むために、まずは敵を知ることから始めましょう。

経審で何が評価されているか、理解してますか?

経審結果通知書(正式名称は『経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書』)には、6つの数値が記載されています。当然ながら、最も大事な数値は総合評定値(P)の欄にある数値です。この総合評定値(P)は、一般には「経審の点数」とか「P点」と呼ばれています。下の画像を見てみてください。赤い枠で囲った部分が、総合評定値(P)の欄です。総合評定値(P)の欄に7つも数値が書いてあるので不思議に思う方もいるかもしれませんが、経審は建設業許可業種ごとに受けることができ、P点もその業種ごとに点数が付与される仕組みになっています。下の画像だと、土木=670点、とび土工=853点といった具合に業種によって点数は変わるので、入札参加登録や入札を行う際には、見間違えないように気を付けてください。(本記事の最後に、図入りで説明しています。)

このP点は、入札参加登録においては客観点数として格付けのベースになったり、行政によっては入札時に「入札できるのは○○点以上の業者のみ」という縛りを設けたりします。なので、自社のP点を確認する機会は比較的多いのですが、P点以外の5つの数値については確認する機会・確認される機会はまずありません。それゆえ、経審の結果が出た直後は確認していても、なにも対策をできずにまた翌年の経審を迎えてしまう方がほとんどです。

しかし、P点は結果でしかありません。同じ経審結果通知書に記載されている5つの評価項目の計算結果でしかないのです。もちろん結果は結果で大事なのですが、翌年の経審に向けてできることはないか、中長期的に経審と入札をどうしていきたいのかを考るには、P点そのものよりも、P点を構成する5つの評価項目をきちんと振り返り、分析することが大切です。

まずはざっくりと5つの評価項目を知っておこう!

P点は5つの評価項目の計算結果でしかないと言いましたが、その評価項目と計算式は次のとおりです。

総合評定値P点0.25(X1)0.15(X2)0.20(Y)0.25(Z)0.15(W)

  • X1=完成工事高
  • X2=自己資本額及び平均利益額
  • Y=経営状況
  • Z=技術職員数及び元請完成工事高
  • W=その他審査項目(社会性等)

※カラフルで読みづらいかもしれませんが、文字色は上の画像の枠に対応しています。

この計算式は役所の出している手引書や市販されている書籍にも掲載されているので、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。X1、X2、Y、Z,Wという5つの評価項目に、それぞれ決まった係数をかけ算して、合計したものがP点になります。続けて、評価項目を1つずつ見ていきましょう。(評価項目の詳細については、別の機会に記事にしますので、そちらをご覧ください。)

X1=完成工事高

X1は、「完成工事高」の文字通り、各業種の工事売上金額についての評価項目です。売上金額が評価されるため、当然ながら売上が大きければ大きいほどX1の点数も高くなります。建設業者さんの売上はどうしても波があるので単年度では評価せず、今期と前期の2年平均か、今期と前期と前々期の3年平均のいずれか都合の良い方を選択することになっています。なので、今期の売上が良いときは「今期だけで評価してくれ~」と思いますし、今期の売上がイマイチなときは「平均で良かった~」と思うことでしょう(笑)

X2=自己資本額及び平均利益額

X2は、今までの利益の積み重ねである自己資本と、本業での稼ぎを示す営業利益、そして実際にはお金が出ていかない費用である減価償却実施額分を繰り戻して計算する経営規模の評価項目です。自己資本は貸借対照表の「純資産合計」、営業利益は損益計算書の「営業利益」、減価償却実施額は確定申告書の別表16を基に計算されます。簡単に言ってしまえば、どれだけ利益を蓄えているのか(自己資本)と、今期と前期に本業でどれだけの利益を生み出せているのか(平均利益額)という、「利益」に着目した項目です。

Y=経営状況

Yは、経営状況、すなわち財務状況に関する評価項目です。Yの点数を付けるのは行政庁ではなく登録経営状況分析機関なので、経審を受ける前に『経営状況分析結果通知書』をもらっておく必要があります。Yは8つの指標で計算されるのですが、この8指標については日を改めて記事にします。1つ言えることは、中小建設業者さんはここで点数的にもったいないことをしていることが多いので、中小建設業者さんはここを行政書士や税理士に丸投げせず、自ら取り組んでいただくことが落札に繋がる経審の第一歩です。

Z=技術職員数及び元請完成工事高

Zは、「技術職員」が審査基準日(決算日)時点でどれだけいるのかと、元請工事は下請工事よりもマネジメント力等を求められることからX1に加えてさらに独自に加点をする、技術力の評価項目です。「技術職員数」については1人につき2業種まで加点がもらえる仕組みになっているので、経審と入札の方向性が色濃く出る項目と言えます。余談ですが、「せっかく資格取らせたのに辞めちゃった(泣)」という話をよく聞くので、そうならないために人材育成や採用計画について一緒に考えたりもします。

W=その他審査項目(社会性等)

Wは、企業が社会的責任を果たしているかといった観点から評価される評価項目です。他の4つがどちらかというとテストの点数が良い人を評価する項目(売上が大きい、利益が多い、技術者の雇用が多い等)ですが、このWについてはクラス委員を1年務めたから、部活動がんばったから内申点をあげましょう(退職金制度がある、防災協定がある、若手を育成している等)というイメージです。費用対効果はきちんと検討したいところですが、すぐにP点を上げたい方は、ここから着手すると良いでしょう。

経審の点数はこんなイメージ

以上のように、経審の点数であるP点は、5つの評価項目で構成されています。最後に、この5つの評価項目がP点にどのように影響を与えているのかをお伝えしておきます。図にすると、次のようになります。

5つの評価項目のうちX2、Y、Wの3項目は業種に関係なく会社全体に関する評価項目なので、全業種共通の加点がなされます。一方で、X1、Zの2項目は業種ごとに異なる評価項目なので、業種によって加点のバラつきが出てきます。したがって、X2、Y、Wの3項目の土台の上に、X1、Zの2項目で業種ごとに加点されるようなイメージです。

いかがでしたでしょうか。少し長くなりましたが、経審の点数であるP点と、その計算の基になる5つの評価項目について、私見も交えてざっくりとご説明しました。経審結果通知書を受け取り、P点の増減で一喜一憂するのではなく、5つの評価項目についての振り返りをしてみてください。見えてくるものがあるはずです。5つの評価項目については改めて詳細な解説をしますので、そちらも併せてお読みいただければ幸いです。

 
行政書士法人Co-Labo
 

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