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[公共工事・入札]

東京都(工事)の格付の付き方・基本編

  • 投稿:2021年02月09日
  • 更新:2024年01月21日

公共工事の入札に参加し始めると、経審の点数と入札の格付の最適解が徐々に明確になってきます。自社のステージの変化によってその最適解も変化しますが、それと同時に、中央省庁、東京都、その他の自治体や団体によって格付の付き方が全く異なることを実感するはずです。

ある省庁は経審の点数+その省庁での工事実績の有無、ある団体は経審の点数+独自の評価項目の点数と、入札参加登録の評価方法は様々です。そんな中、東京都はなかなか個性的な格付の仕方をしているので、ここできちんと説明しておきます。東京都に登録しない方は「そういうのもあるのね。」程度に読み飛ばしていただいてかまいません。

この先は自社の経審結果通知書(経営規模等評価結果通知書)をお手元に用意して読み進めていくと、よりわかりやすいかと思います。

東京都の工事の格付は客観点数(対応する業種の経審点数そのもの)と主観点数(申請業種の過去6年度内の最高実績)で判定されます。ここでは舗装工事を例に話を進めていきます。

客観点数がどのランクに相当するのかを確認する

客観点数とは、ズバリ経審の点数です。登録する業種に対応している業種の経審の点数がそのまま客観点数となります。公報に掲載されている表に客観点数(経審の点数)を当てはめて、どの客観等級になるのかを確認します。まず見るのは別表3「業種一覧表」(左の表)です。

別表3「業種一覧表」を見ると、業種番号01の道路舗装工事は、(土)か(舗)の経審点数で判断し、等級の判断には表1を使うことがわかります。そこで、次に表1「算定等級表」(右の表)を見ます。

例えば、経審の点数(P点)が(土)770点、(舗)710点としましょう。この場合、点数の高い方が採用されるので、(土)770点が表1の中でどの等級になるのかを確認することになります。その上で表1を見てみると、「750点以上900点未満」はBランクに相当することがわかります。したがって、01舗装工事の客観等級はBランクとなります。

主観点数がどのランクに相当するのかを確認する

次に主観等級を確認します。客観点数と同様に、別表3「業種一覧表」を見ると、業種番号01の道路舗装工事は表1を使うことがわかります。次に表1「算定等級表」(右の表)を見ます。主観点数の欄を見ると、2億以上でAランク、8,000万~2億はBランクと記載されていますが、基本的に点=円と読み替えてください。

主観等級の判断に使われる主観点数は、過去6年度以内(一部業種は8年度以内)に関東圏で施工したその業種の工事で一番大きい工事の請負金額がベースになります。なので、例えば2億円の舗装工事の実績があればAランク相当ということになりますし、2,000万円の舗装工事の実績であればDランク相当ということになります。なお、主観等級を決定する上で、4つ注意点があります。

工事実績がない場合は、“無格付X”になってしまう

もっとも注意しなければならないのは、登録する業種の工事実績がない場合、東京都では“無格付X”になってしまうことです。無格付になるとどうなるかというと、簡単に言うと、東京都の入札参加登録業者として名簿には名前が載るけれども、指名されることはまずないという状態です。また、入札できる案件もかなり限定されてしまうので、無格付になることは極力避けなければなりません。

都内に本店のある中小建設業者は“優遇”を受けられる

入札参加登録や入札において、ほとんどの自治体で行われているのが、地元業者の優遇です。以前にも別項目で書きましたが、地元業者に落札してもらって、地元に税金を払ってもらいたいのですから、至極当然なことと思います。入札参加登録の際に地元業者には独自の加点項目を設けるところや、入札の際に市内に本店がある者という条件をつけるところ等、その優遇措置は様々です。

この点東京都はどうかというと、入札参加登録の際、都内に本店のある中小建設業者に、主観等級を判定するときの工事実績を実際の請負金額の2割増しで計算するという優遇を設けてくれています。例えば2,800万円の工事実績の場合、通常であればDランク相当ですが、都内本店の中小建設業者の場合は2,800万円×1,2=3,360千円となるためCランク相当となります。

都内本店以外にもISO9001、ISO14001、エコアクション21等を取得していると、新規で3%、継続で5%の割増し優遇を受けることができるので、これらをお持ちの方は確認してみてください。

民間工事や下請工事は半額で計算される

東京都においては、過去6年度以内(一部業種は8年度以内)に請け負ったその業種の一番金額の大きな工事(最高完成工事経歴)が主観点数のベースになりますが、発注元が民間の場合はその金額を2分の1した金額が主観点数になります。ここで言う「民間」には、一般企業やエンドユーザーから元請で請けた工事はもちろんのこと、別の建設業者から下請で請け負ったものも含み、公共工事であっても下請に入った工事は民間扱いとなります。

例えば、3,000万円の舗装工事があった場合に、役所から直接受注していればそのままの金額なのでCランク相当ですが、一次下請として下請に入った場合には民間扱い=半額計算=1,500万円となるのでDランク相当となります。

原則として、関東圏での施工実績に限られる

先ほどさらっと書いてしまったのですが、主観点数のベースとなる最高完成工事経歴は原則として関東地方での施工実績に限定されています。関東地方とは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県の1都6県です。このルール、普段から気を付けているのですが、私もついうっかり頭から抜けてしまうことがあるので、要注意です(笑)

なお、3つほど例外があります。①山梨県と静岡県に主たる営業所を構えている方はこの両県を加えることができる、②都内本店の業者は岩手県、宮城県、福島県での復興工事を加えることができる、③下表の24業種は限定から除外されている、の3点です。

11建築設計12土木設計13設備設計
14測量17船舶19しゅんせつ埋立て
21潜かん23シールド工事24推進工事
25地下鉄工事43水門門扉45水処理装置
46焼却設備52計装装置53沈砂池・沈殿池機械設備
55送風機機械設備工事56ばっ気槽散気設備工事57汚泥脱水設備工事
58消化槽機械設備工事59ガス貯留設備工事61水道管更生工事
62石綿処理97パイプライニング99(15)ろ過層処理

客観等級と主観等級で低い方の格付が付く

ここまで客観等級と主観等級の付き方を確認してきました。これを踏まえて、最終的な等級(格付)の決まり方をお伝えします。

客観等級がB、主観等級もBというように客観等級と主観等級が同じランクであればそのままBランクになります。しかし、現実的には、客観等級がAで主観等級がBとか、客観等級がBで主観等級がAというように等級がズレることがあります。この場合は下位の等級(格付)が付与されることになります。

上の表では、客観点数がBランク相当、主観点数がCランク相当なので、低い方のCランクになります。例えば、客観がBランク、主観がDランクのように2等級差がある場合でも、やはり低い方のランク(この場合はDランク)が付きます。

実際には、等級の中でさらに経審の点数順に順位が付くのですが、この順位を予想したり狙ったりというのは不可能なので、そこは気にしないでおきましょう。ちなみに、Aランクの中で順位が上位だと、JV案件の親になることができるようになります。

今回は、東京都の工事の入札参加登録において、格付の付き方の基本をお伝えしました。随時受付で申請される方は上記の内容を確認しておけば格付を事前に把握することができますので、ぜひご活用ください。

定期受付で申請される場合は、実は定期受付の時だけ適用される特殊ルール(救済措置)があるので、コチラの記事もご覧いただき、ご注意いただきたいと思います。

東京都(工事)の格付の付き方・基本編

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