経審の点数アップにつながる“売上高を増やす魔法”

こんにちは。“入札コンサルティングを通して建設業者さんの売上に貢献する”行政書士の小林裕門です。経営状況分析(Y点)について解説を続けていますが、『純支払利息比率』と『負債回転期間』の話をしたので、ここで「売上高」について触れていきます。


『経営状況分析(Y点)の徹底解説』~目次~

1、純支払利息比率
2、負債回転期間
3、総資本売上総利益率
4、売上高経常利益率
5、自己資本対固定資産比率
6、自己資本比率
7、営業キャッシュフロー
8、利益剰余金


経営状況分析(Y点)についての大きな勘違い

『経営状況分析(Y点)の徹底解説』と題して経営状況分析(Y点)の8つの指標について解説していますが、「売上高」はそのうち直接的に3つ、間接的に1つの指標に影響してきます。さらには、経審の評価項目であるX1(完成工事高)もあるので、やはり「売上高」はとても重要です。早速、「売上高」が影響してくる4つの指標を見てみましょう。

ここで、1つ大切なことを言います。それは、経営状況分析(Y点)の各指標の計算式で出てくる「売上高」は、完成工事高だけではなく、兼業事業売上高を含む総売上高で計算をして良いということです。これって意外と盲点なんですよね。経審は建設業者の通信簿のようなものなので、経営状況分析も当然に工事についての数字で判断するものだと勘違いしている方が結構多くいらっしゃいます。何を隠そう私自身も最初はそのように思い込んでいました(笑)これは、国土交通省から出ている『経営事項審査の事務取扱いについて(通知)』に、「売上高の額は、審査対象事業年度における完成工事高及び兼業事業売上高の合計の額とする。 」と明文化されており、私が勝手に言っているわけではないのでご安心ください。また、総資本売上総利益率に出てくる「売上総利益」についても、「総売上高」から「総原価(完成工事原価+兼業事業原価)」を引いたものなので、ここでも兼業事業を考慮しています。

これら4つの指標のうち『純支払利息比率』『負債回転期間』『総資本売上総利益率』の3つは「売上高(売上総利益)」が増えれば増えるほど数値が良くなりますが、唯一『売上高経常利益率』だけは「売上高」が増えれば増えるほど数値が悪くなるので注意をしたいところです。しかし、ここで思い出していただきたいのが、このグラフです。

このグラフは、経営状況分析の8つの各指標が、どれだけY点に貢献しているかを示したものでした。「売上高」が影響してくる上記4つの指標を見てみると、「売上高」の増加がマイナスに働く『売上高経常利益率』だけ他に比べてY点への貢献度の振れ幅が極端に小さいのがわかります。一番良くても23.63点、一番悪くても-39.39点と、その差は63.02点(P点換算で12.604点)しかありません。したがって、ここで多少マイナスに働いたとしても他の3つの指標で大きくプラスに働くので、「売上高」はどんどん増やした方が良いのです。

たった数万円で、数百万円の売上高を作る方法

では、どうやって「売上高」を増やすかですが、これは営業戦略やマーケティングの話になってきます。売上を増やす=営業の仕事と思われがちですが、実は営業以外の部門にもできることがあります。この辺については後日に機会を改めるとして、今日はあまりお金をかけずに期中から売上高を増やす方法をお伝えします。『純支払利息比率』と『負債回転期間』のところで、もったいつけて「今ある売上高を増やす魔法が存在します。」と書いたアレです。キャッチーな見出しになっていますが、なんともうさんくさい感じがしますよね。しかし、これはきちんとした根拠のあるお話です。

さて、早速質問ですが、「売上高」とは何でしょうか?損益計算書には、「売上高」のほかにもお金が入ってくる項目として「雑収入」や「特別利益」等がありますが、これらとの違いはどこにあるのでしょうか?これらを区別をするのは誰が仕事なのでしょうか?税務署ですか?税理士ですか?それとも…?

まず、税務署に聞いてみたところ、「税務署としては、課税取引なのかそうではないのかしか見ていません。」との回答です。つまり、ある収益が「売上高」に計上されていようが「雑収入」に計上されていようが、税務署は気にしていないのです。なぜなら、税金は変わらないからです。それよりも、課税取引が非課税になっていたり非課税取引が課税取引になっていたりすると税金が変わってくるので、税務署としてはそっちの方が気になるようです。

次に税理士に聞いてみたところ、「本業からの収益を売上、それ以外は雑収入」「定款・登記簿の事業目的を参考にして売上を決めている。」といった声がほとんどでした。これは『中小会計指針』や『中小会計要領』、あるいは全国1万人以上の税理士・会計士が利用している財務会計システムで有名なTKCの『TKC財務三表システムの科目配置基準』において、「企業の主たる営業活動の成果を表す売上高」という表記や「売上高は、企業の主たる目的の事業活動により得られる収入である。」という定義がなされていることに起因するものと考えられます。また、「前の税理士がそうしていたからそのままにしている。」というご意見もありました。これは会計原則の継続性について配慮しているものと思われ、税理士が変わると税務署が「なにかあったのかな?」と考えることがその背景にあるようです。他にも「複数事業を売上にすると、経費処理等で手間がかかる。」という正直なご意見もありました(笑)

このように「売上高」と「雑収入」の区別について、税務署は無関心、税理士の線引きは曖昧というのが現実です。したがって、何が売上で何が雑収入なのかを決めるのは、他でもない社長自身です。社長が本業だと決めれば、それは本業なのです。そして、本業からの収益が売上なのであれば、雑収入の中にある事業性のある収益も本業にしてしまえば良いのです。その最たるものが、不動産を賃貸しているときの「受取家賃」です。一般的には本業とは言えないという理由で「雑収入」に計上されていることがほとんどですが、そうであるなら本業にしてしまえば良いのです。

では、どうやって本業にするのか?ここで税理士を困らせるわけにもいきませんし、税理士にも納得してもらった上で「売上高」にしてもらう方が今後もなにかとスムーズです。そこで、前述の税理士の言葉にあったように会社の事業目的を追加することで、今まで「雑収入」であった収益を本業として「売上高」に計上してもらうのが良いでしょう。例えば、「受取家賃」であれば『マンション、貸店舗、駐車場及びその他不動産の賃貸及び管理』、「自販機収入」であれば『自動販売機による物品の販売』のように、本業にしたいことを事業目的として自社の定款・登記簿に明文化しておくのです。(事業目的の追加方法については、後述します。)事業目的を追加するには、法務局への印紙代(登録免許税)3万円と、司法書士へ依頼すればその費用が数万円程度かかります。しかし、今まで「雑収入」としてもったいないことをしていた数百万円が、たった数万円で「売上高」に替わるのです。前提として「雑収入」が計上されている必要がありますが、この記事をご覧いただいた社長は改めて自社の決算書を見直し、「雑収入」の中に事業化できる収益がないか確認してみてください。

最後に余談ですが、友人の税理士は、「勉強になる」「税理士的視点だけで決算書を作っていたらダメだ」と私の話に熱心に耳を傾けてくれつつも、「自分は、本業としての損益を正しく把握するために、不動産収入を雑収入にすることはある。あとは社長目線で、社長が何を望んでいるのか?社長にとって役に立つ数字が決算書でパッと見て取れることが大事だと考えている。」と話していました。例えば、工事部門で10,000千円の赤字が出ていたとしても不動産賃貸部門で20,000千円の利益が出ていれば、これを「売上高」とすると決算書上では営業利益は10,000千円のプラスになります。しかし、「雑収入」にしておくと営業利益は-10,000千円です。したがって、「売上高」に入れるのはかまわないとしても、そうするとパッと見で工事部門の赤字が見て取れない(トータルでプラスだから錯覚してしまう)ので、気をつける必要があります。

あぁこの人はプロだと思ったのは言うまでもありません。税金の計算に必要だから決算書を作るのではなく、社長が会社の過去を振り返り、現状を把握をし、今後の未来を考えるために決算書を作っているんですよね。中小建設業者の社長は顧問料の高い低いではなく、こうやって寄り添ってくれる税理士と早く出会えることが、本当の意味で“売上高を増やす魔法”なのかもしれません。

 
行政書士法人Co-Labo
 

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