数十万円で経審の点数が劇的に変わる『純支払利息比率』

こんにちは。“入札コンサルティングを通して建設業者さんの売上に貢献する”行政書士の小林裕門です。今回から経営状況分析(Y点)について解説していきます。第1回目は、Y点の8指標のうち中小建設業者の経審点数アップの超基本とも言える『純支払利息比率』についてです。


『経営状況分析(Y点)の徹底解説』~目次~

1、純支払利息比率(←今回はこちら)
2、負債回転期間
3、総資本売上総利益率
4、売上高経常利益率
5、自己資本対固定資産比率
6、自己資本比率
7、営業キャッシュフロー
8、利益剰余金


「支払利息割引料」を細分化してますか?

税理士さんの決算書を見ていて、しばしば目にする科目が「支払利息割引料」です。これは損益計算書の営業外費用のところに出てくる勘定科目なのですが、決算書を建設業財務諸表にそのまま転記していて損をしているケースが後を絶ちません。

この「支払利息割引料」は、「支払利息(と手形)割引料」の総称で、支払利息と手形割引料(手形売却損)は性質上似た者同士だからまとめて計上してしまおう!という科目なのです。支払利息は借入金に対して支払った利息(利子)のことで、手形割引料は手形を割り引いたときに差し引かれた満期日までの利息相当額のことを言います。確かに性質は似ていますが、これを明確に分けることで経営状況分析(Y点)が上がり、結果として経審の点数(P点)も上がってきます。そのメカニズムを説明しましょう。

支払利息の金額は、経営状況分析(Y点)の評価項目の1つである『純支払利息比率』の良し悪しに影響してきます。『純支払利息比率』の計算式は次のとおりで、計算で求められた数値が小さいほど点数が良い評価項目です。統計では、平成30年度の全体平均は0.33%となっていて、前年、前々年と比べると改善傾向にあるようです。

さて、ここで小学生の算数の問題です。この計算式の分数が小さいほど『純支払利息比率』の評価が良くなるということは、分子(分数の上の部分)は大きい方がよいですか?小さい方が良いですか?答えは簡単ですね。分母が変わらないならば分子が小さくなるほど分数全体も小さくなるので、評価が良くなります。この点、支払利息の中に手形割引料が含まれた状態で計算していると、純然たる支払利息以外のものを余分に含んで計算してしまうことになるため損をしてしまうのです。したがって、手形割引料(手形売却損)がある場合には支払利息割引料から差し引き、同額を雑損失にまとめるか、手形割引料(手形売却損)として別項目にしましょう。他にも、金融機関から融資を受ける際の保証会社の保証料などもここに含まれている可能性がありますので、チェックしてみてください。

税理士さんが「支払利息割引料」という勘定科目を使っている場合、決算書が出来上がってから社長ご自身で「支払利息」と「手形割引料」を分けていただいても良いのですが、あらかじめ税理士さんに「支払利息と手形割引料は別項目にして。」とお願いしておくと、うっかり分け忘れるようなミスを防ぐことができます。

雑収入に眠る埋蔵金にも目を配ろう!

もしかしたら、貴社の税理士さんは支払利息と手形割引料(手形売却損)を既に区別してくれているかもしれません。そのときは感謝をしつつ、もう1つお願いをしてみると良いでしょう。それは「受取配当金」についてです。先ほどの『純支払利息比率』の計算式を見てください。分子は、支払利息から「受取利息配当金」を差し引いて計算しています。つまり、分子を小さくするには、「支払利息」の部分を小さくするだけではなく、「受取利息配当金」を大きくする方法もあるのです。

この「受取利息配当金」は、「受取利息(と受取)配当金」の総称で、受取利息は文字通り受け取った利息です。銀行口座にお金を預けているときの受取利息のほか、従業員や関係会社への貸付金利息を含めてかまいません。また、受取配当金は保有している株式等の配当金や信用金庫・信用組合等からの剰余金の分配(配当)のことです。しかし、この貸付金利息や受取配当金が、決算書では「雑収入」として処理されていることが結構多いです。これもまた分子を小さくできるのに見逃してしまっている典型的なもったいないケースです。決算書を転記するだけだとそのまま「雑収入」として計上してしまうことになりますが、勘定科目内訳書で雑収入の中身をきちんと確認して、貸付金利息や受取配当金が入っていたら「受取利息配当金」として計上しなおしてあげましょう。『純支払利息』の分子を小さくすることができ、経営状況分析(Y点)ひいては経審の点数(P点)アップに確実に繋がります。

最後に、『純支払利息比率』の分数に出てくる分母の「総売上高」です。分数全体を小さくするためには分母は大きい方が良いので、売上高は大きければ大きいほど良いということになります。これは1年がんばって活動してきた結果なので致し方ない部分はあるのですが、この経営状況分析(Y点)はもちろん完成工事高(X1)でも評価の対象となることを意識しながら日々の経営を行うこと、「利益が出すぎて税金がもったいない!」と期末に売上を調整したりせずにしっかりと売上を上げることが、やはり点数アップに繋がっていきます。地道な日々の積み重ねが大切だということですね。ちなみに売上が0の場合は、最低点になりますので、ご注意ください。

でもまぁ実を言うと、違法なことをせずに今ある売上高を増やす魔法が存在します。これについては次の『負債回転期間』について解説した後にお話をしますので、楽しみにしておいてください。

既に「支払利息割引料」や「雑収入」の中身を精査した上で建設業財務諸表を作成しているのであれば問題ありませんが、残念ながらそういう建設業者さんはそんなに多くありません。こういうところがまさに“翻訳”であり、私(行政書士)の腕の見せ所なわけです。しかし、税理士さんが経営事項審査や経営状況分析を理解してくれれば社長がわざわざ内訳を見なくても決算書から計算することができますし、中小建設業者が入札環境をより良いものにしていく上で税理士さんのご協力は不可欠なので、ぜひ味方に引き込んでいくと良いでしょう。

 
行政書士法人Co-Labo
 

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