『売上高経常利益率』決算後でも経審の点数は上げられる!

こんにちは。“入札コンサルティングを通して建設業者さんの売上に貢献する”行政書士の小林裕門です。経営状況分析(Y点)についての解説、第4回目は『売上高経常利益率』です。ここまで3つの指標を紹介してきましたが、いずれも中小建設業者が押さえておくべき大きなポイントでした。今回の『売上高経常利益率』はY点への貢献度の振れ幅が比較的小さいので、少し気を抜いて読んでもらってOKです。


『経営状況分析(Y点)の徹底解説』~目次~

1、純支払利息比率
2、負債回転期間
3、総資本売上総利益率
4、売上高経常利益率(←今回はこちら)
5、自己資本対固定資産比率
6、自己資本比率
7、営業キャッシュフロー
8、利益剰余金


経常利益を増やす方法は、日々の積み重ね

『売上高経常利益率』は、売上高に対する経常利益の割合で、会社の収益性を表す指標です。『売上高経常利益率』は次の計算式で求め、この数値が高いほど収益性が高い会社ということになります。統計では、平成30年度の全体平均は2.82%と低めの水準ですが、前年、前々年と比べると上昇傾向にあるようです。

いつものように分母と分子に分けて考えていきます。まず分母ですが、これは『 経審の点数アップにつながる“売上高を増やす魔法” 』の記事で書いたとおり、分数を大きくするためには分母を小さくするのが良いわけですが、「売上高」が影響してくる他の3つの指標の方が経営状況分析(Y点)への貢献度が大きいことから、そちらを優先すべきです。売上が上がるほど、『売上高経常利益率』だけは点数が下がるんだなくらいの気持ちで良いと思います。

次に、分子の部分である「経常利益」ですが、売上を上げることで結果的に「経常利益」の増加につながるとか、経費を見直しして無駄な支出を抑えることで「営業利益」ひいては「経常利益」の増加につながるというのが一般的には言われています。また、これはもっともな話で、究極的にはこれが王道かつ一番の近道だと思います。他にも『総資本売上総利益率』のところでも触れた、原価を下げる努力はここでも有用です。裏を返せば、『売上高経常利益率』はなにかがきっかけでグンと良くなるようなものではなく、コツコツした日々の努力の積み重ねの結果と言えるでしょう。しかし、本記事を読んでいる皆さんは「なにか手はないのか?」と言いたいと思うので、ここで、以前『 公共工事の受注に繋がる決算書とは? 』という記事の中でご紹介した経営状況分析(Y点)における損益計算書の鉄則について具体的な数字を入れてお伝えしておきます。

“収益は上に、費用は下に”の鉄則を最大限活かす!

経営状況分析(Y点)は、決算書ではなく建設業財務諸表を用いて点数をつけることになっています。なので建設業財務諸表を作成するときに気をつけたいのが、損益計算書の鉄則である“収益は上に、費用は下に”です。例を挙げて説明した方がわかりやすいので、下の図で説明しましょう。

さて、今期の決算書の数字が上の図のように固まりました。売上を100としたとき、5つの利益はそれぞれの図に書いたとおりとなっています。特に何も考えずに決算書を転記して建設業財務諸表を作成すると、当然ながら同じ数字のものができあがります。しかし、損益計算書の鉄則である“収益は上に、費用は下に”を考えながら決算書を建設業財務諸表に“翻訳”すると次のようなことが起きるのです。

例えば、販管費の中に役員退職金10が含まれていたとします。役員退職金は、大企業であれば役員の入れ替えは珍しいことではなく経常的に発生する費用ということで「販売費及び一般管理費」に計上するのが一般的です。しかし、中小建設業者においては役員の入れ替えはそうそうあることではありません。ご高齢になっても役員を務めていて、期の途中で亡くなられることも結構あります。そうなるとたまにしか発生しない臨時的な費用という要素が強い上、金額も大きくなるため損益計算書に与える影響は大きいものになります。そこで、この役員退職金を特別損失へ振り替えると、5つの利益のうち2つの数字が次のように変わってきます。

販管費に含まれていた役員退職金10が減って20になることで、営業利益は50→60に増加します。そこから営業外費用10を引くので、経常利益も40→50に増加します。その後で、元々の特別損失10と販管費から振り替えた役員退職金10の合計である20を引いて、税引前利益は30になります。費用を損益計算書の下の方に振り替えることで、営業利益と経常利益は増え、これにより経営状況分析(Y点)の指標である『売上高経常利益率』と、経営事項審査の評価項目X2(自己資本額及び平均利益額)においてプラスの効果が期待できます。しかし、税引前利益は変わっていないので、税金や当期純利益が決算書と変わってくることはありません。これがまさに“翻訳”の効果です。

ちなみに、この役員退職金についてはまったく根拠がなく話をしているわけではありません。『退職給付に係る会計基準』を参考にするとともに、国土交通省の告示『建設業法施行規則別記様式第15号及び第16号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類を定める件』において退職金は「役員及び従業員に対する退職金(退職年金掛金を含む。)。(中略)なお、いずれの場合においても異常なものを除く。」と定められています。中小建設業者において役員退職金は臨時的かつ巨額なものであることから、ここにある「異常なもの」と判断して特別損失に振り替えているわけです。決算書から建設業財務諸表への“翻訳”については、虚偽だと言われないためにもきちんと根拠をもって行うことが大切です。

 
行政書士法人Co-Labo
 

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