『自己資本比率』中小建設業者はこの図を描こう!

こんにちは。“入札コンサルティングを通して建設業者さんの売上に貢献する”行政書士の小林裕門です。経営状況分析(Y点)について集中的に解説をしている第6回目は、『自己資本比率』についてです。中小建設業者にとっては点数を左右する大きなポイントとなる指標の1つなので、優先度高めでお読みいただければと思います。


『経営状況分析(Y点)の徹底解説』~目次~

1、純支払利息比率
2、負債回転期間
3、総資本売上総利益率
4、売上高経常利益率
5、自己資本対固定資産比率
6、自己資本比率(←今回はこちら)
7、営業キャッシュフロー
8、利益剰余金


自己資本比率は高ければ高いほど良い

『自己資本比率』は、比較的メジャーな経済指標なのでご存知の方も多いかと思います。『自己資本比率』は、総資本(総資産)における自己資本(純資産合計)の占める割合です。平たく言えば、調達してきたお金全体(総資本)を返す必要があるお金(負債)と返す必要がないお金(純資産)に分けたとき、返さなくて良いお金がどれだけあるのかを表しています。『自己資本比率』の計算式は次のとおりです。統計では、平成30年度で32.91%となっていて、前々年・前年と比べて上昇しています。

分子は『自己資本対固定資産比率』と同じ「自己資本」です。貸借対照表上では「純資産合計」と表記されています。説明は重複してしまうのでここでは割愛しますが、自己資本を増やす方法は、節税ばかりしていないできちんと利益を出して内部留保を貯めていくことが一番の近道です。

一方、分母はというと、これまた『総資本売上総利益率』で出てきた「総資本(総資産)」です。『総資本売上総利益率』では前期との平均値を採用していましたが、『自己資本比率』においては審査対象年度の総資本で計算をします。分母なので総資本(総資産)を減らす工夫が必要になりますが、これについても既に説明をしましたので今一度『 『総資本売上総利益率』手元の資産をどれだけ効率的に回せているか 』を読んで復習しておいてください。

『自己資本比率』は経営状況分析(Y点)上はもちろん、会社の経営を考えたときにもやはり高ければ高いほど良いです。返さなくて良いお金が多い方が良いに決まってますよね。一般に、自己資本比率が40%以上であれば、会社がつぶれることはないと言われています。なので、まずは40%を目指しましょう!

あなたの会社の貸借対照表は、5段階中どのステージ?

さて、財務健全性を示す指標として『自己資本対固定資産比率』と『自己資本比率』の話をしたので、ここで少し貸借対照表の話をしておきます。『自己資本対固定資産比率』と『自己資本比率』の2つの指標は、他の指標と比べて大きな特徴があります。それは、貸借対照表に出てくる勘定科目のみで計算する指標ということです。

損益計算書については「収益は上に、費用は下に!」の鉄則と建設業法のルールや会計基準を意識して“翻訳”することで、決算日を迎えた後でも大きく数字が動くことがあるのは既にお伝えしたとおりです。しかし、貸借対照表は決算日時点での資産・負債・純資産の状況を表しているものなので、決算日を迎えた後に数字を大きく動かすということが基本的にできません。例えば、損益計算書であれば販管費に入っていた役員退職金を特別損失へ振り替えることで営業利益や経常利益が劇的に改善する話をしましたが、貸借対照表に目を向けると、決算日を迎えたあとに借入金を返済しても手遅れですし、「返していたことにしよう!」なんてことはできないわけです。したがって、貸借対照表については決算日前(期中)から対策を講じていく必要がありますし、もっと言えば目標とする貸借対照表を1年かけて作り上げていくイメージで日ごろから活動していくことが大切です。

さて、目標を掲げてそこを目指していくにしても、まずは今現在どうなっているかを把握する必要があります。目標(理想の状態)を現在地のギャップを埋めていくにしても、現在地がどこなのかがわからないと先に進めません。そこで、貸借対照表を図で表して考えていきます。貸借対照表は次のように①から⑤の5つのステージに分けられます。自社の貸借対照表がどうなっていて、今どのステージにいるのかをパッと答えられますか?貸借対照表の5つのステージについて、順を追って説明していきます。難しい話、細かい数字の話はしませんので、図で見てざっくりと理解して、自社の現状を確認してみてください。

⑤ 優等生

固定資産を自己資本(純資産)でまかなえている理想的な状態です。すでにこの状態にある方は、これを継続できるように心がけましょう。例えば重量物運搬設置工事をされている方はクレーン車を抱えていないと仕事にならないのでどうしても固定資産が膨らんでしまうため、業種によってはなかなか難しいということもあります。しかし、理想的な最終目標としてどういう形が望ましいのかを社長が把握し、社内全員でそれを共有してゴールに向かって行動していくことが、利益体質に改善していくための第一歩です。

④ まずまず

一見すると、⑤優等生と変わらないように見えますが、違いがわかりますか?固定資産と自己資本(純資産)のバランスに着目してみてください。先ほど述べたように固定資産を自己資本(純資産)でまかなえているのが理想ですが、ここでは一部を返さなければならないお金(負債)でまかなっています。返済がある分、⑤優等生に比べて経営的にはつらい状況と言うことができます。設備投資や不動産購入のために長期借入をするのは一般的によくあることです。この状態がダメだということではなく、どういう理由で⑤ではなく④にあるのかをきちんと把握しておくことが大切です。

③ 固定資産過大

一見すると、きちんと自己資本(純資産)も作れているので問題が無いように思えます。しかし、④と⑤と比べると安定性にやや難があります。その原因となっているのが固定資産の大きさです。⑤と比べると固定資産を自己資本(純資産)でまかなえていないという点では④と同じなのですが、④と比べると固定資産を固定負債でまかないきれず流動負債に食い込んでしまっています。固定資産は長期的な資産運用(長期的に売上と利益を生み出すもの)であるのにもかかわらず、その一部を短期で先に返さなければならないお金に頼ってしまっている状態なので、④よりも資金繰り的に厳しい状況にあると言えます。

② トントン

資産と負債がトントンになっている状態です。現実的には全くのトントンということはほとんどないとは思います。会社の規模によっても変わってきますが、感覚的には1,000千円前後の差異まではトントンと言って良いかと思います。①債務超過よりは良いですが、元請業者からいつもどおりの入金がなくてつなぎ融資を受けたとか、工事でミスをして賠償金を払ったとか、ちょっとしたことがきっかけですぐに債務超過に陥ってしまうので、予断を許さない状況です。したがって、①債務超過の場合と同様に、早急に利益と費用の見直しが必要です。

① 債務超過

読んで字のごとくですが、負債(債務)が膨らんでしまい総資産を超えてしまっている状態です。すべての資産を現金化しても負債をすべて返しきれない状態と言うこともできます。大きな不渡りをくらったとか、単純に過去の赤字の積み重ねとか、理由は様々だと思います。この状態にある中小建設業者は、社長が会社にお金を貸して(社長借入で)なんとかしのいでいるということが多いです。社長は「自分の会社だから」と仰いますが、債務超過であることには変わりません。損益計算書を見て利益と費用を早急に見直して、利益体質の会社に改善していく必要があります。

経営状況分析(Y点)の8つの指標うち『自己資本比率』についてと、これに関連して貸借対照表の5つのステージについてお話をしました。会社の業績の話になるとどうしても売上や利益といった損益計算書の方にばかり目が行きがちですが、本当に大切なのは貸借対照表です。貸借対照表は過去の積み重ねなので、改善するにも一朝一夕にはいきません。まずは自社の図を書いて現状を把握してみるところから始めましょう!

 
行政書士法人Co-Labo
 

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