1、税金はきちんと全部納めているかを確認する

これは当たり前のことなのですが、支払うべき税金をきちんと納めておくことが最低限のルールです。公共工事に使われるお金は基本的にほぼすべてが税金で賄われています。役所の立場からすれば、その税金を滞納しているような行政に対して非協力的な業者には、仕事を頼みたくない請けて欲しくないというのは当然のことと思います。また、税金を滞納している=財政事情が苦しいわけですから、工事を頼んで途中で頓挫してしまっては困るという観点でも、やはり税金を滞納している業者には入札参加登録をしてほしくないわけです。
入札参加登録では、各種納税証明書を提出します。国税(法人税と消費税)はもちろん、県なら県税(法人県民税や法人事業税)、市なら市税(法人市民税)と、各自治体の納税証明書を提出することが多いです。ときには、固定資産税などの納税証明書を求めることもありますので、入札参加登録を行う前に、納付漏れがないかを改めて確認するようにしましょう。
この点、決算月との関係で納税のスケジューリングが非常にタイトになる場合があります。この入札参加登録が集中する秋冬の時期は、7~10月決算の業者さんは申告をしたけど納税がまだだったり、納税していても役所のデータ上反映するまでに時間がかかるために納税証明書が取得できずハラハラしたりということが毎回起こります。税金を納付するタイミングと納税証明書を取得するタイミングには注意してください。場合によっては、申告の前に納税証明書を取得しておくなど、工夫すると良いでしょう。
なお、納税証明書を急いで発行してもらいたいときは、税金を納付したときの納付書控えを持って各担当窓口へ直接出向いて発行してもらうようにすると、すぐに処理してくれることが多いですよ。
2、入るべき社会保険(健保、厚年、雇用)に加入する

これも当たり前のことですが、入るべき社会保険(ここでは、健康保険・厚生年金・雇用保険の3つを言います。)にきちんと加入しましょう。
社会保険の加入が入札参加登録において重要視されたのは、建設業界での社会保険未加入対策が発端でした。加入していない建設業者の方が加入している建設業者よりも価格面で有利になり、公正かつ適正な入札環境が期待できないというのがその理由です。
そして工事の入札参加登録から派生して、今は物品買入れや役務提供の入札参加登録においても必須とされてきています。未加入の場合には入札参加登録そのものを認めない自治体(横浜市など)や、登録はできても実際に案件に入札する際には社保加入が条件になっている自治体(東京都など)等その対応は様々ですが、社会保険未加入業者は総じて不利になります。なので、入札をお考えの場合、きちんと社会保険に加入しておく必要があります。
なお、適用除外になっている場合には無理して入る必要はありません。適用除外になるか否かは、下記の表を参照してください。
従業員の数 | 健康保険 | 厚生年金 | 雇用保険 | |
法人 | 役員のみの会社(※1) | 義務(※3) | 義務 | 除外 |
1人~ | 義務(※3) | 義務 | 義務 | |
個人 | 自分のみ(1人親方等) | 除外 | 除外 | 除外 |
1~4人 | 除外 | 除外 | 義務 | |
5人~(※2) | 義務(※3) | 義務 | 義務 |
※2 個人事業の場合、家族従業員を除く従業員が5人以上になると、原則として3保険すべてにおいて加入義務が生じます。
※3 健康保険については、国民健康保険組合に加入していて適用除外の承認を受けている場合は適用除外となります。

なぜこの記事を書こうと思ったかというと、新たにご縁をいただいたお客様から「社保未加入のまま委託業務の入札参加登録を行っても良いか」というご相談を受けたからです。
調べてみると、ある自治体は登録そのものがNG、ある自治体は登録はできるが2年間“未加入業者”として登録されるとのとでした。そのため今回の定期受付は見送り、社保加入した後に来年度が始まってすぐ随時受付で登録を行うこととなりました。
少しでも早く登録するのが良いのか、少しでも入札で有利になるように登録するのが良いのかは、会社の状況や社長判断によって異なります。これを1人で調べて1人で決めるのはなかなか大変なので、経審と入札に詳しい行政書士の力を借りて進めることをおススメします。