経審において技術職員名簿は引き出しの宝庫!

経審の技術職員名簿は、いつも悩みの種です。技術職員が数名であればそんなに大変ではないですが、2,30名となってくると、資格や実務経験の有無がたくさん出てきます。手続きする上では煩雑になり手間は増えるのですが、その分会社としては選択肢が増えることになります。

技術的な対応力を評価しているZ

復習になりますが、経審の点数である総合評定値P点は次の式で計算します。それぞれの項目についてはこちらの記事をご参照ください。

総合評定値P点=0.25(X1)+0.15(X2)+0.20(Y)+0.25(Z)+0.15(W)

このうち技術力を表す(Z)は、業種ごとの技術職員数と元請完成工事高(2年または3年平均)で評価されます。普段あまり気にしていないかもしれませんが、実は技術職員数と元請完成工事高の点数配分は平等ではありません。8:2の割合になっています。

計算式に記載されている「技術職員数の評点」と「元請完成工事高の評点」は、以前にもご紹介した『建設業法第27条の23第3項の経営事項審査の項目及び基準を定める件』という国土交通省告示と、『経営事項審査の事務取扱いについて(通知)』という国土交通省から各行政庁向けに出ている通知に定められているので、そちらを参照してください。当然ながらどちらも人数・金額が多いほど高得点になります。

元請として工事を請け負うと、元請業者には工事全体の計画を作成してマネジメントすることが求められるとともに、役所との折衝や近隣対策までその責務は広範囲に及びます。一方で下請業者として工事を行う場合には、自社が請け負った範囲でそれらを全うできていればよく、求められるマネジメント力等の差は歴然です。

そこで、公共工事を受注すれば当然元請として工事に当たることになるため、元請業者に求められるマネジメント力等をX1の年間平均完成工事高とは別に加点対象としたのが「元請完成工事高」です。簡潔に言えば、「同じ金額の工事なら元請工事の方が評価が高い」ということになります。

元請完成工事高は年間平均完成工事高(X1)の2年平均または3年平均と連動しているので、X1が2年平均であれば元請完成工事高も2年平均、X1が3年平均であれば元請完成工事高も3年平均で計算することになります。X1は3年平均だけど、3期前には元請売上がないから元請完成工事高は2年平均にするといったことはできません。どちらが自社にとって有利になるのかは、単純な売上高だけではく元請工事高も考慮してみましょう。

元請完成工事高は、元請としての実績がある否かが評価になるため、テクニックでどうなるものではありません。社長の会社が現状では下請工事が多いようであれば、日ごろから元請で受注できる仕組みづくりを考えていきましょう。そんな簡単にはいかないよ!と言われてしまいそうですが、今、社長は公共工事に取り組もうとされているわけで、それも立派な元請工事です。元請工事をやる気はあるわけですから、できるできないではなく、あとは「どうやるか」の問題です。

ここ数年、毎年のように変わる技術職員数の評価

続けて技術職員数についてですが、今回のタイトルにもなっているとおり、技術職員名簿は経審における引き出しの宝庫です。元々あった1級、2級、その他、監理技術者及び講習修了者という加点項目のほかに、ここ数年で登録基幹技能者や専門学校卒業実務経験者が、令和2年4月からは建設キャリアアップシステム(CCUS)でレベル3・4の技能者がそれぞれ加点対象に加わりました。さらに令和3年4月からはCPD(Continuing Professional Development)教育の受講単位数に応じての加点と、技士補の加点も始まります。実は、経審においては技術職員関連の変更がここ数年で一番多く、激アツな評価項目と言えます。(厳密には、CPDは社会性(W)の加点項目です。)

(中央建設業審議会の資料より抜粋)

上の表で「技士」とあるのは、建築施工管理技士や電気工事施工管理技士といった「施工管理技士」のことです。それ以外に5点もらえる資格としては、技術士や1級建築士があります。気をつけたいのは第一種電気工事士で、これは残念ながら2点となっています。こうやって改めて表で見ると、1級技士とそれ以外(2級技士や実務経験者)との点数差は大きく感じますね。

さて、ここからは実務的な話になりますが、技術職員は1人につき2業種まで加点対象とすることができます。経審を受ける業種が2業種までの方は迷うことはないかもしれませんが、3業種以上の方はどの業種で加点をもらうか悩みますよね。ここでも普段からお伝えしている“逆算”で考えることが大切です。

例えば、一級建築施工管理技士(コード120)の場合、建築一式はもちろんのこと、塗装、防水、内装仕上さらにはとび土工まで実に17もの業種で5点の加点対象となっています。しかし、経審の申請において加点がもらえるのはそのうち2業種に限られます。建物の新築などを得意とする建築業者さんであれば建築(業種コード02)を真っ先に選ぶとは思いますが、残りのもう1業種をなににするかは会社の戦略、方向性次第なのです。内装仕上(業種コード19)のP点を伸ばしたいのであれば、一級建築施工管理技士の資格者全員の2つめの業種を内装仕上で統一すれば良いですし、塗装も防水も内装仕上げも満遍なく底上げしたいということであれば資格者によってうまく振り分けて加点をもらうの手です。

このように、経審と入札について私が一貫して提唱している“逆算”の考え方がここでも活きてきます。『どこの役所の、どの業種の、どれくらいの規模の工事』を受注したいのかが明確になっていれば、経審をどのように受けるのが良いのかが見えてきます。そうすると、技術職員をどのように振り分けて加点をもらうと自社にとって有利になるのかがわかってくるはずです。

そのために社長にお願いしたいのが、自社に資格取得の奨励制度を作ることです。ここまで説明してきたとおり、資格者が多ければ多いほど点数が高くなるのはもちろんのこと、経審での選択肢、入札での選択肢がどんどん拡がります。これは社長1人ではできないことで、スタッフの皆さんの協力がなければできません。現場が終わってからの勉強は大変です。ご家族がいるスタッフであれば、ご家族の協力も必要でしょう。それでも努力して資格を取得してくれるのであれば、ぜひそのスタッフのがんばりに報いる制度を自社に整備してあげてください。

いかがでしたでしょうか。技術力(Z)の点数をアップするために必要なことは、元請工事を受注するための仕組みづくり、資格者を増やすための資格奨励の制度作りといった、まさに社長の仕事です。技術職員の評価についてはもっと深い話をすることもできるのですが、混乱させてしまうといけないので本記事ではここまでにしておきます。

 
行政書士法人Co-Labo
 

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