中小建設業者が会社の事業目的を追加するときの手続き

私は行政書士なので登記のお手伝いをすることはできませんが、今回は事業目的を追加するための手続き的なお話をしていきます。経審と入札についての記事ばかりの中でなぜこの話をするのかについては、先に『 経審の点数アップにつながる“売上高を増やす魔法” 』をお読みください。

会社の目的変更登記申請に必要なもの

会社の事業目的は、建設業専業でやってきている場合にはあまり変更することはないかもしれません。建設業許可の許可業種を増やすときに行政に指摘されて仕方なく変更するとか、他の許認可が必要になったので追加するくらいでしょう。事業目的を変更するとその履歴がしばらく登記簿謄本に残りますし、それを見た利害関係者には「この会社ころころ目的変更しているけど、なんか迷走してる?」と疑問に思われてしまうので、そう何度も何度も変えるべきものでもありません。また、中小建設業者の場合には問題になることは少ないですが、株主総会決議が必要なのでその段取り等で大変という方もいます。何回も経験している方は少ないと思うので、まずはざっと事業目的を追加するときの手続きの流れを確認しておきましょう。

建前としてはこのような流れで進んでいくのですが、中小建設業者では株主が社長1人だったり身内だけというケースがほとんどなので、実際に一堂に会して株主総会を開催している会社は少ないです。そこで、ここでは事業目的の変更を法務局に申請するのに必要な下記書類4点についてだけお話をいたします。なお、法務局への登記申請は司法書士の独占業務であるため、詳細については司法書士に確認をしてみてください。

1,株主総会議事録
2,株主リスト
3,変更登記申請書
4,変更登記申請の別紙

株主総会議事録

会社の事業目的は、会社の『定款』に必ず記載しなければなりません(会社法第27条)。そして、『定款』に記載されている内容を変更する場合には、株主総会での決議が必要になります(会社法第466条)。したがって、まずは株主総会を開催(最近は書面決議で済ませる会社も多いです)し、株主総会議事録を作成する必要があります。株主総会議事録には次のように記載します。

例では、『 経審の点数アップにつながる“売上高を増やす魔法” 』でご紹介したとおり、第3号に「マンション、貸店舗、駐車場及びその他不動産の賃貸及び管理」という文言を、第4号に「自動販売機による物品の販売」という文言を追加しています。ここで書いた内容をそのまま登記申請書(または申請書の別紙)に記載し、それがそのまま登記簿に反映されるため、誤字脱字には気をつけましょう。

なお、ここでは“臨時”株主総会という形になっていますが、年に1度決算後に開催する“定時”株主総会で目的変更を議案にしてももちろんOKです。

株主リスト

株主リストは平成28年10月から新たに必要になった添付書類で、上記の株主総会時点での株主と保有株数を確認することで、株主総会決議が適切に行われたことを確認するものです。ここ数年のうちに役員変更などの登記申請をされたことがない方は初めてのことで戸惑うかもしれませんが、法務局のホームページから書式が入手できます。

例では、会社の発行済株式総数200株(総議決権数200個)を私1人が保有している形になっています。株主が複数名いる場合は、議決権を有する株主の上位10名または割合が2/3以上になるまで、保有株数の多い順に氏名、住所、保有株数を書いていきます。住所は「渋谷区代々木一丁目38番2号」のように記載するのが望ましいかもしれませんが、「渋谷区代々木1-38-2」のようにハイフン書きでも差支えありません。

変更登記申請書

さて、いよいよ登記の申請書です。こちらの書式も法務局のホームページから入手できるので、何からどう書いていいかわからないということはないかと思います。繰り返しにはなりますが、登記申請を業として行って良いのは司法書士(と弁護士)だけですので、税理士や行政書士が申請書を作成するのはいけません。

「会社法人等番号」はいわゆる法人のマイナンバーではなく、会社の登記簿謄本(現在事項や履歴事項全部証明書等の登記事項証明書)に記載されているものですので、間違えないように気を付けましょう。また、数年前から会社名のフリガナも書かせるようになりました。法務局で登記簿を取ろうとすると、会社名の読みが違っていることが結構あって困るんですよね。(※文末で補足あり)

それはさておき、肝心の「登記すべき事項」のところですが、変更後の目的をここに記載してもOKです。しかし、目的の記載は行数が多くなることが多いので「別紙のとおり」としておくのも1つの策です。別紙の記載の仕方は後述します。

目的変更の登記申請は登録免許税として3万円かかるので、郵便局や法務局の印紙販売所で印紙を購入して、申請書に貼り付けます。なお、登記申請は変更日から2週間以内に提出することとされているので注意が必要です。(※文末で補足あり)

変更登記申請書の別紙

1つ前の登記申請書で、「登記すべき事項」を別紙のとおりと記載した場合に作成します。wordやPages等の文書作成ソフトで作成したものでかまいません。なお、申請書に直接記載した場合には、この別紙は必要ありません。

なお、こちらの別紙には押印は不要です。自社で登記手続きをされている中小建設業者は紙ベースで申請している方が多いとは思いますが、オンライン送信やデータを保存したCD-R等での提出も可能です。そちらを試してみたい方は法務局のホームページをご参照ください。

登記申請は司法書士さんに頼んでしまうのが吉

ここまで長々と書いてきましたが、枚数は少ないとは言え書類ごとに注意すべき点が結構多く、申請後に補正(修正指示)があった場合には法務局へ出向かなければならない等、登記申請は見た目以上に精神的負担になります。なんでもやってみる!という姿勢はすばらしいのですが、社長にしかできない仕事、スタッフさんの本来の仕事は別にあるはずです。登記のことはプロである司法書士にお任せして、本業に120%集中できる環境を整えることをおすすめします。

フリガナだけを修正することもできる!

フリガナの記載は平成30年3月12日から始まり、それ以降に登記申請書に記載したフリガナが法務局に登録され、国税庁法人番号公表サイトにて公表されるようになりました。

もし自社のフリガナが間違っていたり、フリガナを登録したいけどしばらく登記申請をする予定がない場合には、申出書を提出することによりフリガナを登録したり修正したりすることができます。

登記申請が遅れると罰金!

上記の例では8月22日に変更の効力が生じていて、登記申請日が8月31日なので問題ありませんが、会社の登記では原則2週間以内に登記申請するルールとなっており、違反すると100万円以下の過料(ようするに罰金)が、代表者宛てにくる可能性があるので注意しましょう。

ただ、体感的には2か月以内の遅れで過料が来たという話は聞いたことがありません。以前は半年以内なら…という感じでしたが、3か月から半年くらいで過料が来たという話もちらほら出てきています。もっとも、その場合でもざっくりの相場は3~5万円程度になると思われます。法律上は「100万円以下の~」と規定されているので、ちょっとビビりますよね。

定款のバージョンアップは会社の仕事!

冒頭の流れの図の最後に「自社の定款も修正しておく」とありますが、体感的には中小企業の98%の会社ではきちんと管理されていません。これは司法書士に登記を依頼した場合でも注意が必要で、司法書士はあくまでも登記申請をして変更後の登記簿謄本を取得するところまで(流れの図の4つめまで)のサポートであることが一般的です。登記申請に際して司法書士が定款を預り、登記完了後に変更を反映した定款をお返しすることもありますが、登記が絡まない定款変更は自社でバージョンアップすることになります。したがって、自社で保管するべき定款については自社でバージョンアップするのが大原則です。

なので、登記が完了したら自社で保管している定款も忘れずにバージョンアップして、定款を最新の状態に保つようにしてください。

本記事にご協力いただいた司法書士さんをご紹介

最後の3つの補足説明は、司法書士事務所ワン・ストップ代表の田村治樹先生に教えていただきました。田村先生は、その話のしやすい気さくな人柄から、“相続の匠”として相続・遺言のきめ細かい対応に定評があります。また、大々的には宣伝していませんが実は法人登記も相当な件数を扱っている司法書士さんです。そして、歌がめちゃくちゃうまいです!もしかかりつけの司法書士さんがいない場合は、ご相談されてみてはいかがでしょうか。

司法書士事務所ワンストップ
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行政書士法人Co-Labo
 

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