
小林裕門
『中小建設業者のための「公共工事」受注の最強ガイド』著者/amazon会社経営部門で1位獲得!/新たに公共工事に参入したい方、参入はしているけど思うように受注できていない方に、最適な入札環境をご提案/フォローすると公共工事の受注に近づくかも/経審と入札は関わる専門家によって結果が変わる
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[公共工事・入札]
こんにちは。“入札コンサルティングを通して建設業者さんの売上に貢献する”行政書士の小林裕門です。前回は『 中小建設業者が公共工事を落札するために大事なこと 』を書きましたが、その中でお話をした、中小企業が経審と入札に取り組む上で、“選択と集中”することのメリットをお伝えします。
入札をする際、入札金額を決めるのに、発注図書や仕様書を見ながら見積りを作成する必要があります。いわゆる「積算」です。予定価格を事前公表しているところであれば、先に入札金額を決めて後から積算することもあるかもしれませんが、基本的には積算をして入札金額を決めて入札するというのが原則です。この積算が、結構大変なんですよね。
落札できればその努力が報われますが、落札できないと積算をしていた時間は完全に無駄になり1円にもなりません。役所が積算した時間分の手当を払ってくれるはずもなく、「積算していた時間を返して…」と言いたくもなりますよね。しかもこれは、社長から見れば、スタッフの時間、その分のお給料、精神的ダメージといった目に見えないコストが発生していることになります。新たにお金が出ていくわけではないですが、1円も生み出さないことにコストをかけるのは誰だってイヤですよね。
これを様々な入札参加登録先でやっていたらどうでしょうか。「数打てば当たる」作戦で行ける方は良いですが、中小建設業者においてはなかなかそうも言ってられません。そこで、入札参加登録先を“選択”して絞る(集中する)ことで、闇雲に積算をしている手間と時間のムダを減らすことができます。
様々な役所や団体に入札参加登録をしていると、まずその管理が大変です。東京都は2年に1度で12月頃受付だったな、埼玉県の次の追加受付期間はいつかな?等、入札参加登録をしているところが増えれば増えるほど、その有効期限の管理や定期受付の期間を常に気にしていなければなりません。特に、定期受付は秋冬に集中するので、この時期はそれに付きっきりという方もいます。
また、例えば、入札参加登録後に会社の所在地を変更したり、代表者の交替があったりすると、入札参加登録先に変更届を提出する必要があります。届出について必要書類や送付先を1つ1つ確認しながら進めなけばいけませんし、中央省庁のように定期受付は電子申請なのに変更届は紙で提出という役所もあり、これが本当に手間がかかります。社内に入札参加登録の担当者がいる場合は、その方のプレッシャーは相当なはずです。
この点、“選択と集中”で入札参加登録先を絞ることで、管理が楽になり、手間も減るのは言うまでもありません。
また、行政書士である私が言うのもなんですが、これらの手続きを行政書士に依頼している業者さんであれば、手続きに係る手数料を行政書士に支払っています。なので、入札参加登録先を絞れば申請件数が減るので、行政書士に支払う手数料を節約することにも繋がります。
行政書士からすれば入札参加登録先が多ければ多いほど手数料が増えるのでありがたいわけですから、普通なら“選択と集中”なんて話はしません。しかし、私の仕事は“入札コンサルティングを通して建設業者さんの売上に貢献する”ことです。入札参加登録することがゴールではなく、きちんと戦略的に経審と入札に取り組むことでお客様に公共工事を受注してもらうことがゴールなので、行政書士としての手数料が減るような話も平気でします。
入札参加登録は、役所によって登録業種の区切り方、格付けの付き方がまちまちです。例えば、2020年7月現在、東京都では『建築工事』でAランクを取得するには建築一式工事業の経審点が900点以上ですが、同じAランクでも国土交通省では1100点以上、神奈川県では930点以上がそれぞれ必要です。(役所独自の加点項目もありますが、ここでは無視しています。)これを見てわかるように、すべての役所でAランクでいたい!というのは中小建設業者には困難を極めます。
一方で、1つの役所でも色々な業種で登録したい方もいると思います。実はこれも危険な発想です。経審は、その業種の建設業許可を取得していれば、売上がゼロでも受けることができます。なので、取得している許可業種すべての経審を受けている方がたまにいますが、私からすれば「もったいない!」の一言です。結局これも「数打てば当たる」という発想、あるいは「とりあえず満遍なく受けておけばどこかでひっかかるだろう」という発想から来ています。
経審と入札に漠然と取り組むのではなく、“選択”により、①どこの役所の、②どの業種の、③どれくらいの規模の工事を獲りに行くのかを明確にし、その工事を獲るために、今度は経審をそこに“集中”させていきます。経審には、例えば内装工事の売上を建築一式工事の売上に合算しても良いよ、という制度(業種の振替(積み上げ))があり、これをやれば建築一式の経審の点数は伸びます。しかし、それと引き換えに内装工事の経審を受けることができなくなるので、やはり“選択”がとても重要になります。
いかがでしたでしょうか。これから公共工事に参入する方、参入してはいるけど思うように受注できていない方は、“選択と集中”でメリットを得ながら、戦略的に経審と入札に取り組むことをおススメします。
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