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[公共工事・入札]

東京都の入札参加登録で、意図的に格付を下げる

  • 投稿:2021年02月01日
  • 更新:2024年01月21日

令和3・4年度東京都(工事)の入札参加資格申請定期受付が先月末(1月29日)で終了しました。特別申請期間の申請をした方はもう少し猶予がありますが、まずはおつかれさまでした!

4月1日の審査結果を見なくても結果はわかる

申請の結果は、4月1日に発行される「審査結果通知書」で確認することができます。この「審査結果通知書」、東京都の場合は郵送されてこないので、電子証明書を用いて「資格審査」からログインをして、社長自ら確認する必要があります。なお、ログインをしなくても4月1日になるとweb上で公表される「競争入札参加有資格者名簿」で自社を探して確認することも可能です。

しかし、正直なところ、申請の段階で既に結果はわかっているのです。4月1日に出る「審査結果通知書」は答え合わせにすぎません。

東京都の格付基準は毎回公報で事前に公表されています。今回であれば令和2年10月5日付の都の公報にて公示されていました。なので、ABCD(E)のランクが付与される下記の10業種については申請した時点で格付がどうなるのかがわかっているのです。

01 舗装工事06 一般土木工事
02 橋りょう工事07 建築工事
03 河川工事08 電気工事
04 水道施設工事09 給排水衛生工事
05 下水道工事10 空調工事

格付基準は事前に公表している自治体や団体が多いですが、事前公表していないところも一部ありますので注意が必要です。1都3県だと、横浜市やさいたま市等では事前公表していません。事前公表していない場合は前回の格付基準を参考に組み立てていく必要があるのですが、こればかりは結果が出るまでわからないため、いつもドキドキです。

ありがた迷惑になることもある“救済措置”

さて、東京都の格付けを語る上で外せないのが、救済措置です。正確には“救済措置”、“同時格付”、“緩和措置”という3つがありますが、ここでは広い意味での救済措置としてまとめて話を進めます。なお、“救済措置”、“同時格付”、“緩和措置”それぞれの説明についてはこちらの記事をご参照ください。

この3つの救済措置は、既に入札参加資格を得ている建設業者(継続申請者)が2年に1度の定期受付の際、経審の点数はあまり変わっていないけれどもここ数年の工事受注が思わしくないというような場合に、格付が下がってしまうのを文字通り“救済”してくれて、元の格付に戻してくれるというものです。格付が下がってしまう方にとっては、とてもありがたい制度です。

しかし、救済措置には1点だけ大きなデメリットがあります。それは定期受付で申請を行うと、強制的に適用になるという点です。救済を希望するかしないかを選択することはできません。したがって、格付を下げたいという方にとっては、正直言ってありがた迷惑な制度です。

格付を意図的に下げるには

では、救済措置を希望しない場合にはどうしたらよいのでしょうか。答えは簡単です。定期受付ではなく4月2日以降に始まる随時受付で申請を行えば良いのです。救済措置が適用されるのは定期受付で申請をした方に限ります。なので、随時受付で申請を行えば救済措置の適用がありません。

もちろんこれはこれでデメリットがあります。定期受付であれば新年度の4月1日から格付を得られるのに対し、定期受付を見送って随時受付で申請すると格付を得られるのは早くても5月1日になります。つまり、どうしても4月の1か月間だけ入札参加資格がない空白の期間が生まれてしまうことになります。

水道局や下水道局の単価契約を請け負っていて空白期間が生じるのは絶対ダメ!という方は定期受付の選択肢しかありませんが、そうではない方は格付を自ら選択することができるのでぜひ検討してみてください。

継続申請者が格付を下げたい場合の定期受付と随時受付のまとめ

定期受付

  • 新年度の4月1日から入札参加登録を得られる。
  • 空白期間が生じない。
  • 良くも悪くも3つの救済措置が適用される。

随時受付

  • 現在の格付より下の、希望する格付を狙うことができる。
  • 最速でも5月1日登録のため、どうしても空白期間が生じてしまう。

理想の公共工事受注のために

一貫してお伝えしていますが、中小建設業者においては、経審の点数と入札の格付は上がれば上がるほど良いというものではありません。“どこの役所の”、“どの業種の”、“どれくらいの規模の工事”を獲りたいのかを明確にし、理想の工事が発注されている格付を狙って取りに行くことが必要です。そのためには制度を利用して意図的に格付を下げることも選択肢にあるということを知っておいてください。

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